授業の目標と概要 |
昭和期の作家・太宰治の短編小説を読み、同時代における歴史や文化の諸相を考え合わ
せながら、小説という虚構の言語作品を解釈することの意味について考える。多様な価
値観により読み解かれてきた太宰作品の現代性を明らかにする。
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履修上の注意
(準備する用具・
前提とする知識等)
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レポーターが作品の研究史をふまえた発表をし、全体で討議するという授業形態をと
る。討議を活発なものにするため、発表の準備にあたっては責任を持って、真剣に取り
組むことが求められる。履修者はテキストを熟読し、事前に疑問や課題を整理しておか
なければならない。
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到達目標 |
・作品の歴史的背景や文化的特徴について理解できる。
・研究史に見られる多様な価値観を正確に読み取ることができる。
・口頭発表により、自らが調べ、考えたことを論理的に説明できる。
・他者の口頭発表と絡めて問題点を提起し、討議によって理解を深めることができる。
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成績評価方法 |
試験(30%)、口頭発表(50%)、レポート(20%)
上記の合計点が60点以上の場合を合格とする。
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テキスト・参考書 |
テキスト 太宰治『走れメロス』、『きりぎりす』、『新樹の言葉』(以上、新潮文庫)
参考書 島内裕子・安藤宏『日本の近代文学』(放送大学教育振興会)
津島美知子『回想の太宰治』(講談社文芸文庫)
吉田裕『アジア・太平洋戦争』(岩波新書)
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メッセージ |
今もなお、多くの読者を持つ太宰治の作品の中に、どのような仕掛けがあり、それがど
のような効果を上げているのかという問いに、自分なりの答えを出してみてほしい。単
に読書を愉しむのではなく、歴史や文化とのつながりで作品の世界を豊かに照らし出す
ような「挑戦」に期待する。
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